2023年8月から施行されている欧州電池規則(REGULATION (EU) 2023/1542)は、EU域内におけるバッテリーの環境影響の削減とリサイクル促進を目的とする規制です。
今回は、欧州電池規則について、リサイクルに関連する部分を中心に説明します。
■欧州電池規則とは?
欧州電池規則(REGULATION (EU) 2023/1542)は、バッテリーの環境負荷を減らし、持続可能な資源利用を促進することを目的とする欧州連合の規則です。リサイクルに関連するところでは、バッテリーの回収率や原材料に含めるべきリサイクル原料の割合、処理のルールなどの規則が定められています。
EUに上市する製品にかかる規制ということで、規則案の段階から日本国内でもその内容が注目されていました。これまでDOWAエコジャーナルでは規則案の段階で動向を記事にしていましたが、改めて規則について、リサイクルに関連する部分をご紹介します。
※以下、掲載されている条文は欧州電池規則の条文を指します。
■電池の回収率が定められている
可搬型電池(portable batteries)の製造業者、拡大生産者責任を負う団体は、使用済み可搬型電池の回収目標を以下の通り達成する必要があります(第59条の3)。
| 期日 | 回収目標 | |
|---|---|---|
| 2023年12月31日まで | 45% | |
| 2027年12月31日まで | 63% | |
| 2030年12月31日まで | 73% |
販売業者には、使用済みバッテリーを無償回収する義務が課されます(バッテリーを含む廃棄物には適用されません)(第62条)。また、エンドユーザーが使用済みのバッテリーを他の廃棄物とは分別して廃棄する点も規則に含まれています(第64条)。
■リサイクル原材料を使う必要がある
容量が2kWhを超える産業用電池(電気自動車用電池等、一部を除く)には、廃棄物から回収されたコバルト、リチウム、ニッケル、鉛が、以下の割合以上含まれている必要があります(第8条の2)。
| Co (コバルト) |
Pb (鉛) |
Li (リチウム) |
Ni (ニッケル) |
|
|---|---|---|---|---|
| 2031年8月18日以降 | 16% | 85% | 6% | 6% |
| 2036年8月18日以降 | 26% | 85% | 12% | 15% |
■処理時の注意点とリサイクル目標
回収された廃バッテリーは、廃棄処分してはならず、またエネルギー回収の対象にもならないとされています(第70条)。廃バッテリーはすべてリサイクル工程へ投入し、以下の目標を達成する必要があります(第71条および付属書Ⅻ)。
| 期日 | リサイクル効率目標 |
|---|---|
| 2023年12月31日まで | ・鉛蓄電池の平均重量の75% ・リチウム電池の平均重量の65% ・ニッケル・カドミウム電池の平均重量の80% ・その他廃電池の平均重量の50% |
| 2030年12月31日まで | ・鉛蓄電池の平均重量の80% ・リチウム電池の平均重量の70% |
| Co (コバルト) |
Pb (鉛) |
Cu (銅) |
Li (リチウム) |
Ni (ニッケル) |
|
|---|---|---|---|---|---|
| 2027年12月31日まで | 90% | 90% | 90% | 50% | 90% |
| 2031年12月31日まで | 95% | 95% | 95% | 80% | 95% |
なお、リサイクル効率や回収率の計算については、2025年3月にEUから追加で欧州委員会委任規則が出されています。廃バッテリーのリサイクル効率や材料の回収率の算出方法、文書化の際の様式などが掲載されています。
> COMMISSION DELEGATED REGULATION (EU) 2025/606
■バッテリーパスポート
以前の記事でもご紹介しましたが、バッテリーにはバッテリーパスポート(BP)が付与されます。具体的には、市場に出されるすべてのLMTバッテリー(Light Means of Transport;電動バイク等用)、容量2kWh以上のすべての産業用バッテリー、すべての電気自動車用バッテリーが該当します。2027年2月18日以降に施行されます(第77条)。
以下の通り、再生可能資源の含有率を含むことになっているため、リサイクルにも関連する内容になります。
○BPへ添付される情報の例(付属書XIIIより)
- 製造者、製造年月日、重量など、バッテリーに関する一般情報(付属書Ⅵに掲載)
- バッテリーの材料構成
- カーボンフットプリント情報
- 再生可能資源の含有率
- 定格容量 など
■おわりに
欧州電池規則は既に発効していますが、リサイクルに関する義務については2030年以降にもまたがるスケジュールで目標が設定されています。事業がEUへの上市を伴う場合、今後も新たな目標達成が求められることになります。
当社もリチウムイオン電池のリサイクルを行っており、EU市場の目標も勘案しながら、より効率的なリサイクルを目指してまいります。
この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました











