2026年4月3日、「太陽電池廃棄物の再資源化等の推進に関する法律案」が閣議決定されました。特定の太陽光パネル廃棄者への義務化や、再資源化等を行う処理事業者の認定制度等が盛り込まれた、リサイクルを推進するための法律です。今回は、本法律案の内容について解説します。
■法案の背景
日本では2012年のFIT制度開始以降、太陽光パネルの導入が急拡大しました。これらのパネルが寿命を迎える2030年代後半以降、使用済パネルの排出量は年間最大50万t程度に達する見込みです。現行法ではリサイクルが義務付けられておらず、安価な埋立処分が選択される傾向にあるため、最終処分場の残余容量を圧迫し、廃棄物処理に支障が出る可能性があります。
このため、太陽光パネルのリサイクルに関する法案について議論が進められ、2025年通常国会への法案提出が検討されましたが、他のリサイクル法制度等の整合性が論点となり、一度見送られました。
(参考) 太陽光パネルリサイクル法案に関連する大臣記者会見がありました
その後、制度設計を見直し、費用負担者を「(実質的な)排出事業者」に変更する形で閣議決定されています。
現状の課題として、埋立処分費用が約2,000円/kW程度であるのに対し、リサイクル費用は8,000〜12,000円/kWと大きな差額があり、リサイクルが選択されにくいこと、また全国87カ所のリサイクル施設の処理能力は約13万t/年にとどまり、8府県にはリサイクル施設が存在しないなど、処理体制が構築途上であることが挙げられています。
■法案の内容
太陽光パネルを排出する上でポイントになる点を中心に紹介します。
※以下、掲載されている条文は本法案の条文を指します
1.排出事業者のリサイクル義務
本法案では、排出者の規模に応じて段階的な義務が課される仕組みになっています。
① すべての排出者等
太陽光パネルの長期使用や再使用、リサイクルに取り組む努力義務が課されます(第6条)。
② 収益事業で使用した太陽光パネルの排出者等(事業用太陽電池廃棄者)
国が定める「判断基準」に基づくリサイクルの取組が求められ、国による指導・助言の対象になります(第7条、8条)。
③ ②のうち、多量の排出者等(多量事業用太陽電池廃棄者)※該当する数量要件は政令で今後設定
上記に加えて、以下が義務付けられます。
- 処分方法・排出量・時期等を記載した排出実施計画(多量事業用太陽電池廃棄実施計画)の事前届出(第9条第1項)
届出が受理された日から、原則30日間は排出できません(第9条第3項)。排出等までの流れは、以下の小委員会の図の通りとなります。また、届出内容が判断基準に照らして著しく不十分な場合、国による勧告・命令の対象となり、命令違反には罰金が科されます(第9条第5項・第6項、第26条)。
届出には処分の方法を記載する必要があり、再資源化等以外の方法(埋立処分など)を選択した場合にはその理由を記載しなければなりません(第9条第1項第5号・第6号)。
なお、本法案における「事業用太陽電池廃棄者」とは、「事業用太陽電池の廃棄をし、又はしようとする者」と定義されています(第2条第4項)。太陽光発電設備リサイクル制度小委員会の議論では、解体工事を受注した解体業者(廃棄物処理法上の排出者)ではなく、解体工事の注文にあたってリサイクルか埋立かの決定権を持ち処分費用を負担する者、いわば「実質的な排出者」を指すものと説明されています。メガソーラー事業者の皆さまは、ご自身がこの「実質的な排出者」に該当する可能性が高い点にご留意ください。
2.リサイクラーの認定制度
費用効率的なリサイクルを促進するため、国がリサイクル事業者を認定する制度が創設されます(第12条)。
認定要件の詳細は主務省令で定められますが、小委員会ではパネル重量の約6割を占めるガラスの資源循環が特に重要視されています。
認定事業者への主な特例措置は次のとおりです。
- 都道府県ごとの廃棄物処理法の許可が不要となり、広域的な収集運搬が可能(第14条)
- 集約拠点(積替保管施設)やリサイクル施設における保管基準の特例(保管量上限の緩和)(第14条第4項・第5項)
- 産業廃棄物処理事業振興財団による債務保証・助成金交付(第15条)
これらにより、以下の小委員会の図のように、リサイクル施設の空白地域への集約拠点設置や、既存事業者の設備増強、新規参入の促進が期待されます。
3.既存のリサイクル関連法との接続
本法案では、再資源化事業等高度化法における「認定高度分離・回収事業者」が処分を行う場合に、多量排出者の届出期間(原則30日)が短縮される仕組みが設けられています(第9条第4項第2号)。届出期間の短縮は、排出事業者にとって実務上のメリットとなります。
また、法案本文で言及はありませんが、小委員会資料では既存制度側の措置として「資源有効利用促進法の判断基準に基づく環境配慮設計の推進」が挙げられており、製造段階からリサイクルしやすい設計を促す方向性も示されています。
その他、基本方針の策定や製造業者への措置等も定められています。以下の通り、法案検討のための小委員会にて、全体像が紹介されています。
なお、本法案は公布から1年6カ月以内に施行される予定です(附則第1条)。メガソーラー事業者は2027年末頃からの適用開始が見込まれるため、今のうちから自社設備の排出時期・数量を把握し、対応方針を検討しておくことが重要です。
■DOWAの太陽光パネルリサイクル
今後、法案が成立すれば、多量排出者に該当する事業者はリサイクルの実施計画を事前に届け出る必要があり、認定リサイクル事業者との連携が不可欠になります。DOWAグループでは、将来の大量廃棄に向けて、使用済み太陽光パネルのリユース、リサイクル(金属、熱回収)に取り組んでいます。
DOWAグループの2拠点での処理体制と協力会社とのネットワークにより、日本全国から回収しています。解体撤去、収集運搬からリサイクルまで、一気通貫でサービスをご提供しています。また、当社は、化合物系と呼ばれるCd・Teなどで構成されている等、含有物の影響などでどうしてもリサイクルできない場合や破損した物でも受入が可能です。
DOWAグループでは、含有されている銀の製錬をはじめとして、すべての部品のリサイクルに取り組んでいます。含有物の影響などでどうしてもリサイクルできない場合も、DOWAグループで適切に処理を行います。
DOWAグループでは、以上のように太陽光パネルの処理・リサイクル事業を展開しています。
排出方法に不安がある方や、費用感を知りたい方など、お気軽にお問い合わせください。
この記事は
DOWAエコシステム 企画室 後藤 が担当しました











