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エコ大国ドイツのごみ処理事情と、ごみ削減への取り組み ~デュッセルドルフ~

ドイツのNRW州に位置するデュッセルドルフは、ヨーロッパの日本人在住者が多い都市として知られています。

世界の企業も多く集まる、ルール工業地帯の中心都市デュッセルドルフのごみ処理情報を、現地よりお届けします。

1)デュッセルドルフが誇る焼却技術

写真:シュタットベルケ焼却工場外観

ドイツ最大のエネルギー・公益事業会社の1つであるシュタットヴェルケ デュッセルドルフのゴミ焼却技術は、サスティナブルでかつ効率的な都市インフラの代表です。
収集された一般ごみは焼却され、その熱はエネルギーや熱源としてデュッセルドルフの施設などに送られています。

このシステムで50年以上にわたり、デュッセルドルフの市民や企業からの廃棄物を環境に優しい方法で処理してきました。

シュタットヴェルケ デュッセルドルフの公式動画
(ドイツ語解説ですが、ごみ焼却についてアニメーションでわかりやすく説明されています)

2)ドイツのごみ収集で発生する料金

デュッセルドルフではごみ収集を包括している市営の団体AWISTAに、ごみ処理の年間金額を支払います。金額は、ゴミの量(回収用ゴミ箱の大きさ)や、回収頻度、家の大きさにもよって異なりますが、一例として、4人家族で100平米、週2回回収の場合、およそ年間200ユーロほどの支払いです。

これは一般家庭では住居オーナーに支払い義務があり、賃貸住居の場合は家賃にその金額が含まれますが、設置されたトナーに入る分であれば、ごみの量に制限はありません。
各住居に設置されたごみの 回収専用ゴミ箱も住居オーナーが購入し、住人はいつでも家庭ゴミをトナーに入れることが可能です。

3)ごみの分類と回収

写真:町中の共有ガラス瓶コンテナ

【個人住居に設置される回収トナー】

  1. 一般家庭ごみ(黒色)
    調理済みの生ごみ、汚れた紙、電球、ライターなど
  2. 資源ごみ(黄色)
    プラスティック、アルミ缶、紙パックなど
  3. 古紙(青色)
    段ボール、新聞、コーティングされていない本など
  4. 生ごみコンポスト(茶色)
    調理されていない野菜・果物、植物、コーヒーの粉など

【共有コンテナ】

街中に設置されている専用の回収コンテナは、大きく分けて以下の3種類あります。これらは業者によってリサイクル処理されています。

  • 古着
  • 空きびん(白、緑、茶の色別)
  • 古紙

【リサイクリングセンター】

ゴミ処理業者が管理する回収所に直接持っていき、無料で引き取ってもらうことが可能です。

  • 有害物質を含む廃棄物
  • 廃材
  • 電子機器

写真:リサイクリングセンターのコンテナ。左から古着、家電、電球

【粗大ゴミ】

ゴミ処理業者に予約して、指定の日に住居の前に出しておくと、無料で回収されます。
数に限度はありませんが、指定外のものは上記のリサイクリングセンターに直接持ち込まなければなりません。

無料回収予約にも限度はなく、予約が取れるのが3〜4週間後になるため実際には約1か月に1回ほどの頻度で出すことが可能です。

4)飲料ボトルのデポジット制

写真:デポジットのついたボトル回収機

ドイツでは、一部を除きほとんどの飲料のペットボトル、アルミ・スチール缶、ビンに対し、購入の際にデポジットを支払う義務があります。

金額例 (2022年8月現在、1セント≒1,38円)

  • ペットボトル 15セント
  • アルミ・スチール缶 25セント
  • ビン 8セント

使用後はスーパーや購入したショップへ返却し、デポジットが返金されます。
これにより、ドイツではペットボトルなどのゴミは圧倒的に少なく、ヨーロッパでも珍しいシステムです。

5)ドイツのエコ意識について

写真:紙包装の花

エコ大国とも呼ばれるドイツでは、国民のエコ意識も高く、それは子供のころからの環境教育により自然と身についているものと言われています。
個人差はありますが、若年層でも当たり前のように、エネルギー削減やごみ削減に対する知識や関心があり、一般家庭でもビニール袋やラップ、使い捨てのものの使用に抵抗があるようです。

【販売店での様子】

写真:スーパーの各種売り場

ドイツではスーパーで売られる食材にも、できるだけプラスティック梱包が減らされているので、その一部をご紹介します。

  • 肉類
    梱包売りのものは以前までプラスティックトレイに乗せられ、さらに袋に入っていましたが、現在はトレイが省かれたものが増えています。
    量り売りの場合にもトレイは使用されません。
  • 野菜・果物
    多くの商品が梱包はされておらずそのまま売られており、中には紙包装の場合もあります。
  • 調味料・冷凍食品
    紙箱にそのまま入っているものがあります。
    塩など細かいものは陳列の時点で少し箱からこぼれていたり、一度開封すると保存に困るマイナス点もありますが、実用性よりもエコ対策のほうが顧客に満足されている傾向があると言えます。
  • ヨーグルト
    ガラス瓶に入ったものは、デポジットがついていて店舗に返却が可能です。
  • テイクアウト
    コロナ過で利用が増えたレストランのテイクアウトは、希望の場合にのみ使い捨てでない容器(タッパーなど)を使用する店も増えています。
    使用後は店に自分で返却しなければなりませんが、その手間を面倒と感じるよりも、多くの人が使い捨て容器を削減したいと個人で取り組んでいます。

写真:スーパーでの購入品

これらは一般的なスーパーやレストランの取り組みですが、近年では「Unverpackt(梱包を排除)」をコンセプトにゼロパッキングを実現したショップも都市部ではみられるようになりました。

食材はそのまま陳列され、調味料や穀物などは、リフィルスタイルで量り売りされていて、これは理想的なサスティナブルの販売形態とされ話題になっています。

6)最後に

写真:街のゴミ箱

エコ意識が高いと言われる一方、残念ながらそうでない人も多く、街中には至る所に公共のゴミ箱が設置されていますが、ごみのポイ捨てが目立ちます。
ドイツでは日本のように、自治体が行う住民の清掃活動などの行事もなく、街の清掃は業者に頼っているのが現状です。

現在、インフレの加速化とドイツはロシアからのガス供給量減少に伴う大きな問題を抱えているため、今後の環境対策などが注目されています。


この記事は
ドイツ在住、旅行・イベント関連を専門としたWEBライター
ドレーゼン志穂 が担当しました

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