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「土壌汚染対策法」改正のどこがポイント-その1

【1】土壌汚染対策法改正の背景

平成15年2月に土壌汚染対策法が施行され、6年が経ちますが、この間に確認された3つの課題が今回の改正の背景となっています。

1つめは、実際に確認された土壌汚染の9割近くは、法や条例に基づかない自主的な土壌調査により発覚しているというものです。つまり、報告の義務のない自主調査では、土壌汚染があっても、行政が適正に土壌汚染の管理を指導することが難しい状況だったと言えます。

2つめは、汚染があった場合、ほとんどのケースで掘削除去措置という浄化が用いられていることです。特に不動産取引においては、リスクゼロを求める声が多く、掘削除去措置が好まれます。本措置はリスク低減の観点からは最も良い手法と考えられますが、浄化に多額の費用がかかるため開発が進まないブラウンフィールド問題が発生する要因の一つとなっています。

そして、3つめには自主調査で確認された汚染土壌に対して、法的な規制が十分でないことから、汚染土壌の不適正な処理が行われていることが明らかになってきたことです。

そのため、法改正では、この3点の課題を解決できるように下表のように構成されています。

改正土壌汚染対策法(新法)の変更点と改正の理由
問題点 変更点
行政による汚染状況の状況
把握および管理の不足
法による調査機会を拡大し、法による管理・指導の強化に努める。
自主調査で確認された汚染でも、適正な土壌調査が実施されたことが確認され、行政に報告されれば要措置区域又は形質変更時要届出区域となる。
掘削除去措置の偏重 健康リスクの判断を行政が行い、指定区域を区分し、措置を指導することにより、安易な掘削除去措置の偏重を防止する。
不適正な土壌処理 汚染土壌の適正な処理が促進されるように、罰則の強化すると共に、管理票によるトレーサビリティの確保、そして、浄化施設を許可制にすることによって、不適正な処理を排除する。

【2】調査義務の拡大とは?

従来までは土壌汚染対策法が施行された平成15年2月以降にも稼働している水質汚濁防止法に係る特定施設の廃止時のみが調査契機でした。新法では土壌汚染が大量に発生する可能性のある大規模な土地改変を機会にして、調査義務が付け加えられました。

土壌汚染対策法に基づく調査の義務
契機 旧法 新法
水質汚濁防止法の特定施設廃止時 義務あり(3条) 義務あり(3条)
健康被害のおそれがある場合 調査命令(4条) 調査命令(5条)
環境省令で定める規模の土地を掘削等する場合 義務なし※ 義務あり(4条)

※一部の自治体(東京都、埼玉県、愛知県、大阪府等)では条例による調査義務がある

【3】指定区域はどう変わるのか?

今までは、法に基づく調査によって汚染が確認された場合のみ、法に基づく指定区域とされ、用途の制限がされてきました。今回の改正では法によらない自主調査でも行政に報告し、それが法に基づく調査と同等の仕様と確認された場合は、指定区域となります。
また、従来は汚染の有無のみで指定がされてきましたが、今回は、行政によって健康被害のおそれがあるか、ないかが判断され、その有無によって要措置区域と形質変更要届出区域のどちらかが指定されることになります。

土壌汚染対策法に基づく調査の義務
契機 旧法 新法
健康被害のおそれがある 健康被害のおそれなし
土壌汚染対策法による調査により汚染が確認された場合 指定区域 要措置区域
(形質変更は禁じられる)
形質変更時要届出区域
自主調査により汚染が確認された場合※ なし

※行政に報告し、土壌汚染対策法で定める調査仕様の要件を満たすと判断された場合

【4】不適正な処理を防止する土壌管理票っていうのは?

管理票は、廃棄物を管理するマニフェストに相当するもので、汚染土壌を排出する事業者が発行し、運搬、処理、処分がされたことを確認するための重要な書類です。本票により、汚染土壌の有害性や数量、また排出した事業者や運搬・処理会社、処理施設、処理方法等が分かります。また、管理票に虚偽の記載をした場合や、定められた期間管理票の保管をしなかった場合等には、罰則が適用されます。

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