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PFOSの規制状況

PFOSに関しては排水基準や環境基準は定められていませんが、水質の要監視項目へ追加され、水道水の水質管理目標設定項目に追加されています。こうした動向はPFOS含有泡消火薬剤の取扱いに影響を与える可能性がありますので、紹介いたします。

1. 2020年に目標値が設定されました

(1)水環境における水質基準(要監視項目)へ追加

環境省は令和2年(2020年)5月にPFOS及びPFOAを公共用水域及び地下水における人の健康の保護に関する要監視項目に追加しました。さらに暫定的な目標値である指針値(暫定)として、PFOS及びPFOAの合算値で0.00005mg/L以下(50ng/L以下)と定めました。

要監視項目は引き続き知見の集積に努める必要があると考えられるものとして設定されており、今後の知見集積の状況によっては水質環境基準健康項目への移行等を検討していくことも示されています。

PFOSと共に要監視項目に追加されたPFOAとは、ペルフルオロオクタン酸という有機フッ素化合物です。PFOSに近い性質であり、PFOAとその塩及びPFOA関連物質として昨年POPs条約の附属書A(廃絶)への追加が決定しました。
国内においても化審法での第一種特定化学物質への指定やその措置について検討が行われています。

【関連記事】

環境省 「水質汚濁に係る人の健康の保護に関する環境基準等の施行等について(通知)」(令和2年5月28日付)

(2)水道水における水質基準の水質管理目標設定項目へ移行

厚生労働省は令和2年(2020年)3月にPFOS及びPFOAをそれまでの要検討項目から水質管理目標設定項目へ移行し、その目標値(暫定)をPFOSとPFOAの合算値で0.00005 mg/L以下(50ng/L以下)と定めました。なお、水質管理目標設定項目は水道水中での検出の可能性があるなど水質管理上留意すべき項目とされています。

【関連記事】

厚生労働省 水質基準に関する省令の一部改正等について(施行通知)

PFOS及びPFOAの目標値

公共用水域及び地下水における人の健康の保護に関する要監視項目 水質管理目標設定項目
PFOS及びPFOAの合算値 0.00005mg/L以下 0.00005 mg/L

2. 水環境中でのPFOS及びPFOAの存在状況把握調査

環境省は、令和2年(2020年)6月に令和元年度に実施したPFOS及びPFOAの存在状況把握調査の結果を発表しました。調査は各都道府県のPFOS又はPFOAの排出源となり得る施設周辺等の河川、湖沼、海域、地下水及び湧水を対象に全国171地点で実施されました。ここで排出源となり得る施設として、泡消火剤を保有・使用する施設、有機フッ素化合物の製造・使用の実績がある施設、廃棄物処理施設、下水道処理施設等が挙げられています。

調査の結果、全171地点のうち13都府県の37地点で、要監視項目の指針値(暫定)50ng/Lの超過が認められました。

地点区分毎に超過地点数を整理すると、

  • 河川106地点中18地点
  • 湖沼4地点中1地点
  • 地下水46地点中13地点
  • 湧水6地点中5地点

となっており、国内の様々な水環境において検出される状況が認められました。
なお、海域は全9地点で指針値(暫定)超過地点はありませんでした。

【関連記事】

環境省 令和元年度PFOS及びPFOA全国存在状況把握調査の結果について


この記事は
DOWAエコシステム 環境ソリューション室
山野 が担当しました

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