環境対策に取り組むすべての人へ
最新の知見を届ける情報サイト

DOWAエコジャーナル

2026.11.04 サーキュラーエコノミー

サーキュラーエコノミーとは? 企業が押さえたいポイントと事例を解説

リサイクル

資源価格の高騰や脱炭素化の推進を背景に、「サーキュラーエコノミー(循環経済/循環型経済)」の関心が高まっています。EUを中心に制度整備が進むなか、日本でも企業に対して資源循環を意識した事業活動が求められるようになってきました。

サーキュラーエコノミーは環境対策だけではなく、資源の安定確保や新たなビジネス機会の創出につながる考え方です。本記事では、サーキュラーエコノミーの基本的な考え方や注目される理由、企業(DOWAグループ)の取り組み事例について解説します。

サーキュラーエコノミーとは

サーキュラーエコノミー(Circular Economy)は、日本語で「循環経済」とも呼ばれます。資源をできるだけ長く使い続けながら、新たな価値を生み出すことを目指す経済モデルであり、近年はEUを中心に制度整備が進み、日本でも企業の関心が高まっています。

環境省では、サーキュラーエコノミーを次のように定義しています。

循環経済(サーキュラーエコノミー)とは、従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すものです。

(出典)環境省:令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行

サーキュラーエコノミーの三原則

サーキュラーエコノミーの考え方を世界的に発信しているエレン・マッカーサー財団が次の3つの原則を紹介しています。

  1. 廃棄物と汚染物を生み出さないこと
  2. 製品や素材を(高い価値の状態のまま)流通・循環させ続けること
  3. 自然を再生させること

従来のような大量生産・大量消費を前提とする経済モデルではなく、設計段階から製品を長く使い、修理や再利用、再資源化しやすくすることが重視されています。製品のライフサイクル全体を通じて資源を循環させることが、サーキュラーエコノミーの基本的な考え方です。

リニアエコノミーとの違い

リニアエコノミー(線形経済)とは、資源を採掘し、製品を製造・消費した後に廃棄する一方向型の経済モデルです。

工業化以降、このモデルによって大量生産・大量消費が進み、経済成長が支えられてきました。製品の買い替えが増えるほど市場が拡大しやすいため、企業にとっても成長しやすい仕組みでした。

例えばファストファッションは、短期間で大量生産・大量販売を行う代表的な例です。流行が過ぎた製品は廃棄されることも多く、資源消費や廃棄物の増加が課題となっています。

一方、サーキュラーエコノミーでは、製品や資源を可能な限り循環利用し、廃棄物を減らしながら価値を生み出すことを目指します。

(出典)環境省|令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行

3Rとの違い

従来の3R(リデュース、リユース、リサイクル)は廃棄物を減らすための取り組みです。

リデュース:
製品をつくる時に使う資源の量を少なくすることや廃棄物の発生を抑える
リユース:
使用済製品やその部品等を繰り返し使用する
リサイクル:
廃棄物等を原材料やエネルギー源として再利用する

サーキュラーエコノミーは、こうした3Rの取り組みを含む考え方です。環境省では、サーキュラーエコノミーを「3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら付加価値を生み出す経済活動」と整理しています。(参考:環境省 令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 状況第1部第2章第2節 循環経済への移行)

大きな違いは、サーキュラーエコノミーが廃棄物を減らすためだけではなく、資源循環を通じて新たなビジネスや収益機会を創出する経済モデルである点です。

(出典)成長志向の資源循環経済システム「サーキュラーエコノミー」(前編)どんな課題を解決するの?|エネこれ|資源エネルギー庁

企業が事業戦略にサーキュラーエコノミーを取り入れることで、資源調達リスクの低減や競争力向上、新たな市場の創出につながることが期待されています。使用済み製品や製造工程から発生する副産物を資源として活用できれば、資源価格の高騰や供給不足への対応力を高めることができます。また、循環型のビジネスモデルは脱炭素や持続可能性への対応として評価されやすく、新たな顧客価値や事業機会の創出にもつながります。

世界と国内の動向

サーキュラーエコノミーはEUを中心に概念や制度の整備が進められており、日本でもその考え方を取り入れた政策が推進されています。

近年は、資源の安定確保や産業競争力の強化を目的として、各国がサーキュラーエコノミーに関する制度を整備しています。特に製造業においては、海外市場で事業を展開する場合に関連する制度への対応が求められるケースも増えています。

EU:制度整備でサーキュラーエコノミーを牽引

EUでは、2050年までの温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す「欧州グリーンディール政策」の中で、サーキュラーエコノミーを重点施策の一つに位置付けています。

また、金融機関や投資家も、資源循環や廃棄物削減に取り組む企業への投資を拡大するなど、サーキュラーエコノミーへの移行を後押ししています。このように、サーキュラーエコノミーは環境政策だけでなく、経済や金融の分野においても重要なテーマとなっています。

エコデザイン規則(ESPR)

EUでは、サーキュラーエコノミーへの移行を進めるため、製品を長く使い、修理やリサイクルをしやすくすることを目的としたエコデザイン規則(ESPR)を導入しています。(参考:EUのエコデザイン規則、7月18日から施行(JETRO))

EU市場で販売される製品には、耐久性や修理のしやすさ、再利用・リサイクルのしやすさなど、資源循環を考慮した設計が求められています。製品のライフサイクル全体で環境負荷を低減することが目的です。

デジタル製品パスポート(DPP)

エコデザイン規則の取り組みの一つとして、デジタル製品パスポート(DPP)の導入が進められています。

DPPは、製品の原材料、製造、使用、修理、リサイクルなどに関する情報をデジタルで管理する仕組みです。製品のライフサイクル全体を可視化することで、修理や再利用、資源循環の促進が期待されています。(参考:Digital Product Passport(European Commission))

アメリカ:資源循環で競争力強化を目指す

アメリカでは、重要鉱物や金属資源の安定確保に向けた取り組みが進められています。 特に、電気自動車や再生可能エネルギー設備の普及に伴い、レアメタルや金属資源の需要が増加していることから、国内で発生するリサイクル資源の活用や資源回収の強化が進められています。
また、市場メカニズムを活用しながら資源の循環利用を促進する動きもみられます。リサイクルを通じた資源確保は、資源安全保障や産業競争力の向上にもつながると考えられています。

日本:循環経済への移行を本格化

日本では2026年に「循環経済行動計画」を策定し、サーキュラーエコノミーへの移行を進めています。

資源の海外依存や重要鉱物の需要拡大を背景に、使用済み製品や廃棄物から資源を回収・再利用する仕組みづくりが進められています。また、再生資源の供給体制の整備やリサイクル産業への投資促進を通じて、資源の安定確保と産業競争力の向上を目指しています。

サーキュラーエコノミーは環境政策としてだけでなく、資源制約への対応や経済成長を支える産業政策としても位置付けられており、今後さらに企業の取り組みが重要になると考えられています。

> あわせて読みたい:循環経済行動計画とは?策定の背景と企業の役割を解説

サーキュラーエコノミーが注目されている3つの理由

サーキュラーエコノミーが世界的に注目されている主な理由を解説します。

資源不足のリスク

資源エネルギー庁によれば、電気自動車や再生可能エネルギー設備の普及などにより、金属資源や鉱物資源の需要は世界的に増加しています。製品の製造に欠かせない金や銀、銅、鉛、スズなどについては、2025年までの累積需要が埋蔵量の2倍以上に達すると予測されており、資源価格の高騰や調達リスクは企業にとって大きな課題となっています。(参考:成長志向の資源循環経済システム「サーキュラーエコノミー」(前編)どんな課題を解決するの?|エネこれ|資源エネルギー庁)

こうした背景から、使用済み製品や廃棄物から資源を回収・再利用する「都市鉱山」や再生資源への注目が高まっています。

また、資源を海外からの調達に依存している日本にとって、使用済み製品や副産物などを資源として循環利用することは、資源安全保障の観点からも重要な取り組みといえるでしょう。

環境問題への対策

気候変動や地球温暖化など、世界はさまざまな環境課題に直面しています。

新たな原料を採掘・精製して使用するよりも、再生材(リサイクル資源)を活用する方が、エネルギー消費やCO2排出量を抑えられる場合があります。そのため、資源循環はカーボンニュートラルの実現に向けた重要な取り組みの一つとされています。

(出典)成長志向の資源循環経済システム「サーキュラーエコノミー」(前編)どんな課題を解決するの?|エネこれ|資源エネルギー庁

また、製品を長く使用したり、再利用やリサイクルを進めたりすることで、資源の採掘や廃棄物の発生を抑えることができます。環境負荷を低減しながら持続可能な社会の実現を目指す考え方として注目されています。

海洋プラスチックごみ問題の改善

プラスチックは安価で利便性の高い素材ですが、その一方で大量生産・大量消費により廃棄物の増加が課題となっています。適切に回収・処理されなかったプラスチックごみが海洋へ流出した場合、海洋生態系への影響も懸念されています。

こうした課題に対し、世界各国で海洋プラスチックごみ削減に向けた取り組みが進められています。2021年時点では86の国と地域が、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す 「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」に賛同しており、G20でも海洋プラスチックごみ対策に関する国際的な枠組みが推進されています。

プラスチックの使用量削減や再利用、リサイクルの促進を通じて、海洋プラスチックごみ問題の改善にも貢献すると期待されています。

経済成長の機会創出

サーキュラーエコノミーは新たなビジネスモデルや市場を生み出す可能性があります。

例えば、再生材を活用した製品開発や、製品の修理・再製造サービス、サブスクリプションやシェアリングサービスなどは、サーキュラーエコノミーの考え方から生まれた代表的なビジネスです。

資源を効率的に活用しながら、その取り組みに付加価値を与えることで、環境負荷の低減と経済成長の両立が期待されています。

サーキュラーエコノミーを実現する手法

どのような手法でサーキュラーエコノミーが実現できるか見ていきましょう。

エコデザイン

製品の設計段階から、耐久性や修理のしやすさ、再利用・リサイクルのしやすさを考慮する手法です。資源循環を前提とした製品づくりにより、ライフサイクル全体の環境負荷低減を目指します。

循環型サプライチェーン

再生可能資源やリサイクルによって回収された再生材を原材料として活用し、資源を循環させる手法です。資源の安定確保につながり、持続可能なサプライチェーンの構築に貢献します。

内閣官房が取りまとめた循環経済行動計画の概要資料でも、グローバル企業において、ブランド価値向上の観点から再生材を利用する動きが加速しているという方向性が示されています。

リユース(再利用)

使用済み製品や部品を、そのまま、または簡単な整備を行ったうえで再利用する手法です。使い捨てにせず、繰り返し使うことで、新たな製品の製造や廃棄に伴う資源・エネルギーの消費を抑えることができます。

古着店やフリマアプリなどを通じて製品を再利用することが、代表的なリユースの事例です。

リペア(修理)

故障した製品を修理し、できるだけ長く使い続ける手法です。製品の廃棄や買い替えを減らし、資源の有効活用につながります。

家電修理サービスやスマートフォン修理、住宅のリフォームなどが代表例です。

リマニュファクチャリング(再製造)

使用済み製品を分解し、部品交換や再組立てを行って新品同等の品質に再生する手法です。製品価値を維持しながら、製造時の資源やエネルギーの使用量を削減できます。

使用済みのトラックなどの部品やユニットを回収し、新品同様の品質に再製造する例があります。

製品のサービス提供

製品を販売するのではなく、機能やサービスとして提供する手法です。企業が製品の所有権を持ち続けることで、回収や再利用、再資源化を進めやすくなります。

代表的な例は、リース、サブスクリプションなどです。日用品などではなく、電化製品・車・ファッション・産業用機械などが向いているといわれています。

シェアリングプラットフォーム

製品や設備を複数の利用者で共有し、資源を効率的に活用する手法です。カーシェアリングや宿泊施設の共有サービスなどが代表例で、製品を「所有する」から「必要な時に利用する」へと利用形態を変えることで、製品の稼働率を高めます。一つの製品に対し、購入時より多くの利用される機会があるため、新たな資源投入の削減や廃棄物の発生抑制に貢献します。

回収とリサイクル

使用済み製品や製造工程で発生する副産物、廃棄物などを回収し、新たな原材料として再資源化する手法です。これまで廃棄されていた資源を循環利用することで、天然資源の使用量を削減し、資源の安定確保や環境負荷の低減につながります。

代表的な例は、アルミ缶やPETボトルのリサイクル、使用済み家電から金属を回収する都市鉱山、使用済みリチウムイオン電池からレアメタルを回収するバッテリーリサイクルなどです。

DOWAエコシステムは使用済の通信機器や自動車から、金属やプラスチックなどの再生可能な原料を効率的に取り出し、資源として再利用される循環を作り上げています。

> 参考:DOWAエコシステム 資源リサイクル事業

サーキュラーエコノミーの実現には、自社の取り組みだけでなく、サプライチェーン全体での連携が重要です。設計、製造、販売、回収、リサイクルなどに関わる企業が協力し、資源が循環する仕組みを構築することで、より効率的な資源循環が可能になります。

サーキュラーエコノミーの事例

具体的にDOWAが実施している事例を紹介いたします。

非鉄製錬・リサイクルコンビナートによる多種多様な金属の回収

DOWAグループは、長年にわたり培ってきた非鉄金属製錬技術を活用し、スマートフォンや電子基板、自動車部品、バッテリーなど多様なスクラップから金属を回収するリサイクル事業を展開しています。銅や亜鉛だけでなく、レアメタルを含む約20種類の有価金属を回収できることが特徴です。

DOWAグループの製錬・精製事業を担うDOWAメタルマインでは、回収した金属資源を再び社会で活用できる資源へと再生し、資源循環を支えています。

秋田県内の製錬所やリサイクル関連施設を連携させた「製錬・リサイクルコンビナート」を構築し、電子機器や廃基板、焼却残渣などから回収した金属を再び資源として活用しています。また、製造工程で発生する残渣も相互に利用することで、資源の有効活用を進めています。

さらに、自社の水力発電や廃棄物焼却施設の廃熱を活用するなど、エネルギーの有効利用にも取り組んでいます。サーキュラーエコノミーにおける「回収とリサイクル」を実践する事例として紹介されています。

> 参考:非鉄製錬・リサイクルコンビナートによる多種多様な金属の回収 | 循環経済パートナーシップ

企業間連携を促進する取り組みの一つが、環境省・経済産業省・一般社団法人日本経済団体連合会が設立した「J4CE(循環経済パートナーシップ)」です。DOWAグループもJ4CEに参画しており、資源循環に関する取り組みを紹介しています。
J4CEには、サーキュラーエコノミーの実現を目指す多くの企業・団体が参画しており、さまざまな取り組み事例が公開されています。

サーキュラーエコノミーを支える動静脈連携の事例

DOWAグループでは、村田製作所と連携し、工程廃棄物からリサイクル金属を回収し、再び製品として活用する資源循環スキームを構築しています。循環経済への移行に向けて重要とされる動静脈連携の事例として注目されています。ぜひ以下の記事もあわせてご覧ください。

> 事例紹介:株式会社村田製作所からサプライヤー表彰を受賞 ~2社間でリサイクル金属を確保・活用する資源循環スキームを共同で構築~

サーキュラーエコノミーはビジネス的機会

サーキュラーエコノミーは、資源を使い続けながら価値を生み出す循環型の経済モデルです。資源不足や環境問題の課題解決だけではなく、新たなビジネス機会の創出や企業競争力の向上につながります。

EUを中心に制度整備が進むなか、日本でも循環経済行動計画の策定などサーキュラーエコノミーへの移行に向けた取り組みが進んでいます。今後は、エコデザインや再生材の活用、リユース、リサイクルなどの取り組みを通じて、製品や資源を循環させる仕組みづくりがますます重要になるでしょう。

自社の事業にどのような取り組みが取り入れられるかを検討し、循環型のビジネスモデルへの転換を進めることが求められています。

DOWAエコシステムでは、使用済み製品や製造工程で発生する副産物・廃棄物の回収・再資源化を通じて、資源循環の実現を支援しています。

お問い合わせはこちら

田岡 この記事は
DOWAエコシステム 企画室 田岡 が担当しました

資源循環や環境法規制の最新動向、環境対策のヒントなど、実務に役立つ情報を毎月お届けします。

メルマガ登録はこちら

環境法令への対応や環境対策を推進する方に向け、社内教育やリスク管理などに役立つ資料を用意しています。

お役立ち情報はこちら

ACCESS RANKING

よく見られている記事

CONTACT

お問い合わせ

お問い合わせはこちら