DOWAエコシステム(株)傘下の環境コンサルティング会社、イー・アンド・イー ソリューションズ(株)は、市町村がリチウムイオン電池を安全に、かつ適正に回収・処理・リサイクルできる体制づくりを目的とした調査を秋田県より受託しました。
その一環として、2025年7月に秋田県大館市のニプロハチ公ドームで開催された大館市エコフェアにて、リチウムイオン電池の回収試験を実施。市民の皆さんが持ち込んでくださった電池は2日間で、584個、78kgに至りました。
当社ではその後、回収したリチウムイオン電池の性状、正極材の種類、リチウムイオン電池以外の二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池)等の混入状況など、さまざまな角度で調査を行い、回収の常設化および再資源化に向けた課題を整理しました。
リチウムイオン電池について
リチウムイオン電池関連記事のおさらい
モバイルバッテリーや加熱式たばこ、ハンディファンなど、私たちの身の回りのさまざまな電子機器に使われているリチウムイオン電池。小型で高い出力を持ち、繰り返し充電して使える便利な電池として、日常生活に欠かせない存在となっています。
DOWAエコジャーナルではこれまで、リチウムイオン電池の基本的な仕組みや特徴、リサイクル制度、DOWAグループにおけるリチウムイオン電池リサイクルの取り組みなどについて、さまざまな記事を発信してきました。
> LIB(リチウムイオンバッテリー)とは? その5 DOWAのLIBリサイクル
> リチウムイオン電池の適正処理・リサイクル制度
便利な一方で、リチウムイオン電池は使用中および廃棄過程において適切に取り扱わないと発火等のリスクがあります。全国の廃棄物処理施設等では、リチウムイオン電池が不燃ごみやプラスチックごみなどに混入したことに起因する火災事故が急増しています(出典:「安全と資源循環の確保に向けたリチウムイオン電池対策」寺園淳、廃棄物資源循環学会誌、Vol.37, No.1, p.58-72, 2026)。
国立環境研究所とイー・アンド・イーソリューションズ(株)等による共同研究によると、全国の自治体管轄の廃棄物処理施設における火災被害額は年間で少なくとも100億円以上と見積もられています。
安全な回収に向けた課題
リチウムイオン電池の回収にあたっては、いくつかの課題があります。
まず、過去記事でも取り上げたように、リチウムイオン電池を含む小型二次電池は「資源有効利用促進法」のもと回収が進められています。ところが、膨張しているもの、破損しているもの、液漏れしているものなど、異常がある電池は回収対象外となる場合があります。また、製品に内蔵されて取り外しが難しい電池や、海外製品・メーカー不明品など、既存回収ルートの対象外となる電池もあります。
さらに、自治体によっては一般廃棄物として回収対象としている場合もありますが、回収の対象や方法は自治体によって異なります。
そのため、これらのような既存の回収ルートはあるものの、市民が「どこに出せばよいかわからない」と感じ、結果として不燃ごみや資源ごみなどに混入してしまうケースがあります。こうした混入が、廃棄物処理施設や収集運搬時の火災の一因となっています。
「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について(通知)」
こうした中、2025年4月に環境省は「市町村におけるリチウム蓄電池等の適正処理に関する方針と対策について(通知)」を発出しました。この通知では、一般廃棄物として排出されるリチウム蓄電池等について、市町村の責任のもとで適切に処理を行うことが求められています。
これを受け、各市町村ではリチウムイオン電池の分別回収や適正処理に向けた検討・取り組みが進みつつあります。一方で、前述の通りリチウムイオン電池は火災リスクが高く、膨張・破損した電池の扱いや、電池が内蔵された小型家電の扱いなど、現場での対応に苦慮している自治体も少なくありません。安全性を確保しながら、市民にとってわかりやすく、継続可能な回収体制を構築することが大きな課題となっています。
こうした状況に対応するために、環境省としてもリチウムイオン電池総合対策パッケージの策定や特設サイトを立ち上げるなどを通じて、啓発に取り組んでいる状況です。
調査について
「リチウムイオン電池等リサイクルに係わる調査」の概要
これらの背景、課題を踏まえて、イー・アンド・イー ソリューションズ(株)は、秋田県より「リチウムイオン電池等リサイクルに係わる調査」を受託しました。本調査は、市町村がリチウムイオン電池を安全に、かつ適正に回収・処理・リサイクルできる体制づくりに資することを目的としています。
具体的には、家庭等から排出されるリチウムイオン電池の種類や性状、異常の有無、既存回収ルートの対象かどうか、リチウムイオン電池以外の二次電池の混入状況などを把握し、今後の分別回収や適正処理に向けた課題を整理するものです。
※今後、より詳細な情報をまとめたホワイトペーパーの発行を予定しております。ご興味のある方は個別にご連絡ください。
回収試験(イベント回収)
本調査の一環として、家庭で使用済みとなったリチウムイオン電池等を市民から直接回収する「イベント回収」を実施しました。
イベント回収とは、地域住民が集まる地域のイベントにおいて回収ボックスや対面回収等により、参加者が持参した対象物を回収する方法です。
対面で直接引き受けることにより、電池の充電状態のヒアリングや、絶縁の有無など、持ち込み時の状態が確認できるとともに、どのような電池を、どの程度保管しているのかを把握可能です。さらには市民の声(反応)を把握できる点に特徴があります。
今回の回収試験では、会場内に専用の回収ブースを設置し、持ち込まれた電池を確認したうえで、安全に保管できるようペール缶等を用いて回収しました。
(出典)秋田県地下資源開発促進協議会
大館市エコフェアについて
大館市エコフェア&マンモスフリーマーケット(以下、大館市エコフェア)は、環境意識の向上やリユース・リサイクルの促進を目的としたイベントで、フリーマーケットを中心に、多くの市民が来場する催しです。市民(大館市の人口:約6万3,000人)からの知名度も高いことから、来場者も多く(2025年は2日間で約8,000人)、家庭内で保管されている電池の持ち込みを呼びかけやすいことから、回収試験の会場となりました。
次回は、回収試験の結果等についてご紹介予定です。
この記事は
イー・アンド・イー ソリューションズ 新冨 が担当しました











